ターミナルケア(エンゼルケア)

副院長コラム, 医院ブログ

早くも立春、節分が近づいてきました。

この年末年始に在宅やホスピスで4人のターミナルケアに係りました。ホスピスの一人目は、自然に抜けた歯の歯茎の部分の腫れと痛みを訴える方でした。直接軟膏を塗布し、症状はなくなり笑顔が戻っていましたが、新年を迎えることなくお亡くなりになりました。
もうひと方はご家族の強い希望で義歯の新製希望です。基本的にホスピスでは義歯は新製せずに修理等で対応するのですが、義歯を持たれておらず、美味しく食事をさせて上げたいとの娘さんの強い希望で作りました。先日完成し、美味しそうに食事されていましたが、数日前から酸素吸入が始まりました。

在宅の一人は癌末期の方で「食事の味がしない」というものでした。診ると、舌だけでなく口全体にカンジダが広がっていました。指示通りにうがいと塗り薬を3日ほど続けて下さり、年明けにはすっかり奇麗な口になり「正月は美味しく食べられました」と嬉しい言葉をいただきました。7日あたりから病状が悪化しているのですが、お孫さんの結婚式に何とか出たいと頑張っておられます。
在宅のもう一軒は1万人に1人の割合で発症する難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う方でした。正月前に義歯を作製して5日目に急変して亡くなりましたが、義歯が入った時は昔の容貌を取り戻され非常に喜んでおられました。笑顔が忘れられません。

ターミナルは作業時間が限られ、患者さんの選択肢も狭まりますが、様々なドラマがあります。人生の最後を少しでも穏やかに満足していただくお手伝いが出来ることは、私の大きな喜びで仕事の励みになっています。

副院長 溝渕 シズエ