歯ぐきを痩せさせる5つの原因

医院ブログ, 歯科衛生士コラム

副院長紹介
「歯ぐきがやせてきた」「歯が長くなった」「このまま歯ぐきがやせ続けたら歯が抜けてしまうのではないか」そんな気になる症状や心配はありませんか?
この歯ぐきのやせ(歯肉退縮)は、なぜ起こるのでしょう?また、どうすればその進行をおくらせることができるのでしょうか。

原因はいくつかあり、その原因が重なっていれば、よりそのリスクは高くなります。

1.歯周病の進行によるもの
一番の原因といえるのは歯周病によるものです。歯周病菌の感染により、歯を支えている歯槽骨が溶けることで歯ぐきもやせてしまいます。
40代以降の80%が歯周病にかかっているといわれるので、歯周病由来といえるのです。歯周病は数十年にわたって少しずつ進行していくので、自覚症状がないうちからの対策が必要となります。

これには、歯ブラシと、歯間ブラシやフロスなどを併用させての適切なお手入れ(セルフケア)と定期的な歯科医院での歯石除去や歯面清掃(プロフェッショナルケア)が有効であり不可欠ともいえます。

2.誤ったブラッシング
強い力でのブラッシングや、歯ブラシを大きく動かしすぎるロングストローク、かたい毛の歯ブラシの使用、サイズの合っていない歯間ブラシの無理な使用などによる、歯肉の摩耗と歯の咬耗によってのあごの骨の吸収、消失が歯肉退縮をおこします。

これには、自分に合った清掃用具の選択と、ブラッシング方法やブラッシング圧の適正化によって、進行を阻止することができます。

3.噛み合わせによるもの
異常な噛み合わせにより、一部の歯に過度な力が加わり続けることで、その部分の歯を支えている組織に負担がかかり、炎症が起こることで歯ぐきがやせてきます。
歯軋りや噛み合わせなども影響することがあります。

これには噛み合せの調整やマウスピースの使用、合っていない被せものの調整、歯列矯正など歯科医院での治療が必要であり有効です。

4.加齢による老化現象
年齢によるものというよりは、それまでの生活習慣に由来するものと考えられ、すべての人に歯肉退縮が起こるとは限らず、程度の差もあります。

5.不適合な詰めものや被せものによる影響
不適合な部分に汚れが残りやすく、清掃が困難な状態が慢性的な炎症を起こし、歯肉退縮を起こしやすくします。
口の中では自分に見えにくいところもありますから、歯科医院での検診や検査が発見には有効であり、処置することで原因を排除することができます。

歯肉退縮は、前歯や小臼歯という自分でも見えやすい部分に起こることが多く、見た目のわかりやすさから、審美的に関心が高くなりがちです。
この部分はもともと、表側の歯ぐきやあごの骨が薄いことが多く、それが要因となって歯肉退縮が起こりやすくなります。

また、審美的な問題だけではなく歯肉退縮によって、ムシ歯の抵抗性の弱い、歯の根っこの部分が露出することによりムシ歯リスクの高くなる状態を引き起こします。
さらに、知覚過敏(ムシ歯ではないのに歯がしみる症状を起こすもの)を起こす原因となります。

歯肉退縮は、何が原因なのかを診断し、個別に対応することが必要で、進行を予防することが、お口の健康を守ることになります。

歯科衛生士 安井